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しかも米国市場では、韓国企業の販売攻勢が激しくなっており、数で稼ぐ小型車中心の薄利多売の時代ではなくなったのではないかという議論がひんぱんに交わされるようになっていた。

米国T社には、「クレシーダ」(日本名マークⅡ)を高級車の頂点とした商品のラインアップでは、なんとなく物足りないという空気が漂っていた。 それだけに米国T社の東郷社長は、できるだけ早期にクレシーダを大きく凌ぐ高級車の登場を待ちわびていた。
米国上陸への序曲こうしたなか、米国T社では、社長の東郷行泰の強いリーダーシップの下に、新しい高級車受け入れの準備を急いでいた。 T社自動車の1985年の輸出台数は198万台と200万台にもう一歩と迫り、米国市場における販売は93万8千台と、8年連続で輸入車のトリプル・クラウン(乗用車、商用車および総合で1位)の栄光に輝いていたが、米国T社では、一部の販売店のごう慢さによる顧客への対応のまずさや再修理件数の増加などの問題を抱え、J・D・パワー社のCS(顧客満足度)調査によるランキングでも、ベンツ、ホンダに次ぐ第3位に甘んじていた。
T社本社で米国市場向けの新しい高級車の開発計画が動き出したことを聞いた東郷は、早くも85年8月には、米国T社社内に新車をナンバーワンのフラッグに見立てた「F1プロジェクトチーム」を発足させていた。 東郷メモT社本社の常務会は1986年6月、高性能の高級車の開発のメドがほぼついた状況を踏まえ、この高級車を専門に販売する新しい販売チャネルを設けることを決めた。
常務会では、新しい販売チャネルの設定には初期投資がかかるうえ、高級車を専門に販売するディーラーを新規に募集しても果たして安定的な経営ができるかなどをめぐって議論が沸騰したが、新しい高級車開発にかけるSK主査の熱意や、独自の販売チャネル開設を求める米国T社の意見などを入れ、シ第2チャネルの開設を決めた。 この決定を聞いた東郷は、86年8月、「マルエフチャネルに関卜する考察」と題したメモを発表、やがて米国市場に投入される高級車の販売についての考えを、東郷はそのメモのなかで、「マルエフはT社と併存するブランドである」として、新しい高級車がT社から独立した新しいブランドであることを強調し、これも、他社の追随を許さない品質とサービスに裏付けられ、最高のブランドイメージを備えた全く新しい販売ネットワークの構築を提起した。


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